矯正のメリット・デメリットについて

矯正歯科を受診される方は、いろいろな症状でご来院されます。「前歯がでこぼこしている」「八重歯が気になる」「受け口」「前突感が気になる」..etc。もちろん、「見た目の審美性を気にされて」といった方や、「咬みにくい」「顎が痛い」など、機能面を気にされる方もたくさんいらっしゃいます。

では、矯正治療のメリットとデメリットとは何でしょう?

矯正治療のメリット

1. 歯は消化器官の一つです。上下の咬み合わせがズレていたり、顎の動きに不調和をきたす状態を正すことで、よく咬める、顎の正常な発育、構音をプラスの方向に誘導します。

2. 整った歯並びは見た目だけでなく、歯ブラシも届きやすくします。歯ブラシのしにくさ、磨きにくさから虫歯、歯周炎、歯周病の羅患リスクが高くなります。日本人成人の8割近くの方が、歯肉炎歯周病に罹患していると言われています。

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3. 患者さまが一番多く気にされる、見た感じが良くなることです。

4. 歯並びが良くなることで劣等感がなくなり、心理的に良い影響を与えることがあります。

5. 歯並び由来の口呼吸を正すことで、口呼吸の弊害を正し、健康な呼吸環境を整えます。

6. 笑顔が素敵になります。自信をもって笑えることで、表情筋の活性がよくなりアンチエイジング効果も期待できます。

矯正治療のデメリット(不正咬合の状態を放置することによるデメリット)

1. 見た目の劣等感

2. 咬むという機能不全→顎の動きとの不調和から、顎関節への影響が出ることがあります。

3. 成長期の不正咬合は、後の発育にマイナスの影響を及ぼすことがあります。

4. 凸凹の歯並びの場合、歯ブラシが届きにくく虫歯、歯肉炎、歯周病リスクが高くなります。

5. 消化器官として、物を噛み砕く機能がおち、咀嚼機能の低下、食べ物を噛み砕きにくい、胃、腸への負担が増大することがあります。

矯正治療のデメリット(矯正治療をおこなう上でのデメリット)

1. 歯を動かすことは、硬い骨の中で歯の根が移動することです。矯正力を加えると、歯根の周りに骨改造現象が起きて歯が動くのですが、歯根吸収を起こす可能性もあります。一概に歯根吸収は矯正力のみが原因ということではなく、矯正経験がない方でも、歯根吸収が起きている場合があります。過度な矯正力を用いたりすると起こりやすいと言われています。持続的、弱い力を用いるため、矯正治療は年単位の治療になるのです。

2. 肉の退縮→歯茎が下がる→ブラックトライアングルの出現
これも矯正治療が100%原因というわけではありません。加齢とともに歯の周りの骨も痩せてきて、歯茎が下がることはあります。不正咬合や歯周組織の状態により、適正な矯正力を用いても歯茎が下がることはあります。過度の歯列拡大や画一化に非抜歯計画では骨が薄くなり、歯肉退縮のリスクが高くなることがあります。

3. 治療期間について。歯の動きには個人差があります。治療前に提示させていただいた治療期間よりも長くなる可能性もあります。

4. 矯正治療は見た目が良くないことから、歯に付ける器具(ブラケット)の材質も従来のメタルから白い材質のものや、歯の裏側に付けるリンガル装置が選択できます。

5. 痛みも治療開始3日~1週間程度は違和感を覚えますが、次第に慣れてくること、また、ワイヤーなどの材質も年々進化しやわらかく、細いワイヤーが開発されていますので、昔に比べれば痛みの度合いは減少しております。

6.矯正治療装置がお口の中に装着されると歯ブラシが届きにくい環境になります。虫歯や歯肉炎、歯周病に罹患するリスクが高くなりますので食後の歯ブラシを徹底していく必要があります。

7.時として歯の根が周りの歯槽骨と癒着して矯正力をかけても動かない場合があります。

8.動的治療中に一過性に知覚過敏を生じることがあります。

9.状況によっては、当初予定して治療計画を変更することもあります。

10.取り外し式(可撤式装置)で矯正治療をする場合、指示された時間を装着されないと予定した治療結果を得ることができない場合があります。

11.動的治療終了後は保定期間に入りますが、保定装置の使用状況によっては歯が動き始める後戻りを起こすことがあります。

治療費について

一般的な不正咬合の矯正治療は、健康保険の適応外となります。健康保険適応の矯正治療はこちら(日本矯正歯科学会ホームページ)をご確認ください。

矯正治療期間について

短い期間で治療できるに越したことはありませんが、歯を動かすには上記歯根吸収のリスクなどから、適正な矯正力を越えて動かすことはできません。また、歯の移動距離が大きいほど舌癖などの習癖などがのこっていたり、患者さまのご協力度によっても増減します。術前のカウンセリングにて詳しくご説明いたします。